家族葬が広まった背景

家族葬が広まった理由は、主に2つ考えられます。

1つが人間関係の希薄化です。昔は人同士の絆が強固であり、誰かが亡くなったとなれば地域の人々が協力してくれるのは当たり前のことでした。しかし、現在は隣人の名前さえ知らないことも、珍しくはありません。当然のことながら、葬儀を手伝ったり、参列したりする人数が減れば葬儀の規模は小さくなりますので、家族葬が選ばれるようになったのです。

もう1つの理由として考えられるのが、少子高齢化です。長生きするにつれて、社会との結びつきが減る傾向になり、結果として葬儀の参加者が減ります。また、子どもの少ない状態で葬儀を行うことは、個人ごとの負担が大きいため、規模の大きな葬儀を行うのは難しいのが現状です。家族葬とは、現代の社会に適応した葬儀の形ともいえ、これも時代の流れといえるでしょう。

密葬との違い

家族葬と密葬はどちらも、親族・友人などで葬儀を行う点は同じです。しかし、家族葬と異なり、密葬は本葬だけでなく、お別れの会も行われます。有名人や社長など、幅広い方々と交流がある人物が亡くなった場合、親しい人々だけでお別れを告げるにはお別れ会があったほうが都合良いため、密葬が選ばれます。家族葬と密葬は同じように扱われることもありますが、厳密にいえば異なるものですので、その点は注意しましょう。

家族葬が行われている割合

公正取引委員会が発表した「葬儀の取引に関する実態調査報告書（平成29年3月22日）」には、葬儀の種類ごとに年間取扱件数と年間売上高の増減傾向について掲載されています。家族葬は増加傾向にあり、年間取扱件数・年間売上高の双方が50％を上回る結果となっています。現代の日本において、家族葬がいかにニーズに適した葬儀であるかがわかる結果といえるでしょう。

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